東京高等裁判所 昭和26年(う)754号 判決
原判決がその第一事実において起訴状に記載がなく且つ訴因として追加のない論旨摘録の如き事実を認定したことは所論のとおりである。
論旨は被告人が偽造した公文書の内容に関して原判決は起訴状に記載なく、且つ訴因として追加のない事実を認定したと主張するのであるが公文書偽造罪の訴因として起訴状に記載すべき公文書の内容は必ずしもその文書の内容全部を逐一記載することを要するものではなくてその内容の代表的な部分を記載しその文書が如何なる公務員によつて作成さるべき文書であるかが認められればよいのである。
されば本件起訴状に記載された事実は公文書偽造罪の訴因としては何等欠くるところなく唯原判決は被告人等が偽造した公文書の内容について起訴状に記載された事実よりも詳しく記載しただけであるから訴因追加の手続を要しないことは勿論原審が審判の請求を受けない事件を審判したものでもなく従つて不告不理の原則に反することもない。
論旨は理由がない。